漁業者、観光業者、市民すべてにかかわる計画

「市土地利用計画」と適合しない 市の困惑と危機感が〜 
 安楽島・岩倉にわたる大規模開発。なんと大明東・西町がすっぽり2つも入ってしまうほどの広さです。当然、市のめざす基本方向との整合性が問われてきます。業者の知事宛「開発事業事前協議申出書」に市がつけた意見具申をご覧ください。(H18.2.10)(※ポイント部分を抜粋)


1、市土地利用計画との適合性
地方自治法にもとづく基本構想―当該地は、土地利用における地域整備施策の推進において、自然環境や景観に配慮した土地利用計画を図る地域と位置づけられている」
国土利用計画法にもとづく土地利用計画―当該地は、農林業の生産及び水源かん養の役割をになう地域とされており、本市の活性化を図る上で重要な地域となることから、自然環境に配慮した土地利用を推進すると明記されている。
■都市計画に関する基本的方針―当該地は土地利用の構想として市民や観光客が身近に自然に親しめ、鳥羽の魅力を支える重要な緑地であることから、その保全・活用に努めるため自然景観緑地ゾーンと位置づけられている。
■「鳥羽市森林計画」―森林について、自然資源として市民生活に大きく寄与しており、観光資源としての特性など、その多様な公益的機能を十分発揮しており、森林機能の維持、緑地保全に努める農林振興保全ゾーンと位置づけられている。


2、(省略)
3、周辺の自然環境保全との関連性
 当該地の大部分は伊勢志摩国立公園普通地域内であるが、本開発事業計画は大規模であり、排水流末の岩倉側は農業地帯であり農用地もある。また、安楽島側には、鳥羽市の重要な産業である牡蠣養殖海域であり、事業の計画が障害者総合福祉・障害者用競技場・短期大学・食のテーマ館等などといった、実現の難しい事業であることから、実現までに長時間を要したり、造成終了後計画中止の恐れがあることから、申請者との十分な協議が必要である。
4、(省略)


5、総合判断
◎申請者について
 申請者 ○○○○○は現在経済活動を行っていないと思われる。
 申請者 ○○○○○は現在福祉事業の実績がない。
◎資金計画について
 本開発の造成工事については、具体的な数字が示されてるが、施設建設に関する計画は、行政機関の補助事業頼みだったり、企業の協賛協力で可能というような、不確実な計画である。(中略)
 開発許可に際して、設計協議に十分な審議をお願いするとともに、施設建設の保証がない限り、開発許可を出さないようにしていただきたい。


 皆さん、いかがですか。 実は、私はこの意見具申を目にしたとき少々驚きました。よそは知りませんが、鳥羽市でこれだけ厳しく、また、市の困惑ぶり、危機感が伝わってくる意見具申は珍しいからです。それだけ無謀な計画だということでしょう。(もちろん,反対の皆さんからみれば、もっと厳しく!となるでしょうけど…)
この開発計画は、安楽島、また漁業者にとどまらず、広く観光業者や市民すべてにかかわってくる計画だと痛感します。


 
■左写真は恐竜発見場所から撮影。二地湾です。左が弁天崎、右が白根崎。この間に桟橋建設。
■右写真はパールロード沿いの恐竜発見場所の案内版。その真下が左写真になる。
<土取場から県道下に建設のトンネルを通じ、二地湾沖に建設の海上桟橋から船で運び出す計画>