伊勢湾の環境悪化 長良川河口堰、宮川ダム、温暖化…

黒海苔養殖 桃取・答志は採算割れの事態です!
新年からなんとか持ち直しつつありますが…!次の競りは25日です


<漁協の出荷基準サンプル以下は、商品にならず、ナサの浜に捨てざるをえない…。9月から手間暇かけて育てた海苔なのに…!>

 艶のある黒く香り高い海苔は鳥羽市の自慢, 冬の風物詩でもあります。あぶって食べると、パリパリ…。この食感が私はたまらなく好きです。幸せな気分になりますよね。
  ところが、今年は、三重県の養殖海苔の色落ちが激しく、厳しい状況が続いています。特に鈴鹿と鳥羽で例年にない不作となっています。 鳥羽市でも、伊勢湾に面した桃取と答志は、なんと採算割れ、過去最悪の事態です。一方、伊勢湾に直接面しない和具、安楽島などは出来が良く、地域によって、明暗が分かれています。
 今年二回目、昨年暮れ26日の共販結果(競り)は、100枚当たり価格で、和具=2401円、安楽島=2039円、浦村=1800円、菅島=1780円で県内で最高レベルの価格でした。ところが、桃取=760円、答志=400円です(担当課資料)。燃料高騰もあって、採算割れの事態。ダブルパンチです。
 海苔養殖は9月から準備が始まります。大変な作業を重ね、やっと、海苔を製品化できるのが、12月の初の競り。それまでは、現金収入はありません。
 例年であれば、業者さんは、初競りの収入でほっと一息ついてが年越しをするのです。 正月前に現金化できないのは海苔養殖始まって以来初めてのことです。悲痛な声が寄せられています。つらいことです。
  どうすることもできないけど、ともかく現場の状況を視察させていただこう、 私は、昨年暮れの29日、定期船に飛び乗る格好で桃取に渡りました。
  
「ノリ屋さんでお茶よばれるのもつらい」と手伝いの人 
 どこへいっても赤茶色のような海苔ばかりです。胸のしめつけらる思いでした。漁協が出荷基準として配布したサンプル海苔の色と比較して、それ以下のものは、ナサの浜に捨てているのです。どんなに悔しいことでしょうか。 昨シーズンに続いて今回もまた…。ぶつけようのない怒りがこみ上げてきました。
 「ノリ屋さんの軽トラが前の道を通る。そのたびに浜に捨てに行くのだと胸が痛くなる」島の方がとつぶやきました。「ノリ屋さんでお茶もらうのもつらい」と手伝いの人が話してたそうです。例年なら海苔の出荷に島全体が活気づく季節なのに〜。
 「いつもなら黒々としていい香りが漂う自慢の桃取海苔なのに、こんな状況やさ」 「色がつかない。香りも弱い。昨年購入した機械のローンをどう払っていけばよいか、思案している」 「去年の色落ちはまだシーズンの終わりだった。今年はスタートからや。これは、きつい」 「伊勢湾全体が悪い。特に悪い鈴鹿の潮が南下してくる。それにやられる。防ぎようがない。海の環境が悪すぎる」 「森の栄養分を含んだ水が欠かせない。でも、ダムがせき止めている。栄養分がなくては色がつかない。宮川ダムの上限を下げてきれいな水を流してほしい」 …

県レベレで頼りにされてる「鳥羽水産研究所」です  
 こうした事態を受けて、黒海苔養殖業界、県漁連、県、そして、鳥羽市の水産研究所などが緊急会議を開き、意見交換と原因究明の話し合いをしました。  水産研究所の斉藤洋一ベテラン研究員には、ご指名で出席要請がかかりました。頼りにされてるのですね。鳥羽の基礎データがモノをいいます。水産研究所の存在意義を実感します。 鳥羽磯部漁協でもお話を聞きましたが、長良川河口堰ができるまではこんなひどい事態はなかったとのこと。宮川ダムは、漁業者の迷惑になる流木ゴミは放流してきて、漁業者が必要な森の栄養分はせき止める。改善と放流を再三要望しているが実現に至っていないとのことでした。 
 担当課も現状把握に努め対応を検討中です。ぜひ、議会でも、なんとかアクションを起こせないものか。海苔養殖のプロや、元漁協役員の議員もいます。議会として「漁業に配慮した宮川ダム放流」を要望できないか。みんなで行動する議会にしていきたい。