白紙に戻して地元住民の意思を反映させるべき

公共事業への住民の意思反映、同じ県でもこんなに違う
 
 27日、志摩土木事務所が堅神町で、第二伊勢道路の砒素・黄鉄鉱を含む発生土の処理についての説明会を開きました。地元の方が70名ほど集まりました。私も含め7名ほどの市議と県議も参加していました。
県が「安全である」と繰り返したのに対して、住民からは、「心配だ」「処理は受け入れられない」の声が相次ぎました。すでに、堅神町162世帯中、107世帯の反対署名が集まっており、野呂知事に直接手渡す予定といいます。反対意見に対して大きな拍手が起こり、参加者の圧倒的多数が反対という意志を示した説明会であったと感じました。
 

 私は、県の説明を聞いていて、その内容と姿勢に対し、とても違和感を覚えました。
一つは、環境基準値を5倍も超える砒素が検出されたのに認識が甘いということ。
もう一つは、住民の意思反映を欠落させたことへの問題認識がないということです。


環境基準値の3倍の砒素で公園の土を入れ替えた町もある


ホームページで自然由来の砒素の問題を検索しました。
◆まず、目についたのが、平成17年に神奈川県の二宮町の公園で環境基準値を超える砒素が検出され、公園を使用禁止し対策を検討中という記事です。 
記事は、公園の土壌から環境基準値0,01mg/リットルの約3倍の0,032mg/リットルの砒素が検出された。 町では自然的な要因によるものか、人為的要因なのか、調査を実施し要因を特定し、対策をするとしています。―


 それで、私は、早速、二宮町役場に電話をしてどんな対策をしたのか聞きました。担当者によれば、調査で自然的要因であると判明した。法律には触れないが、町の考えとして、町民の安全のために土砂をすべて入れ替えた。土砂量は255立方メートル、費用は714万円。町民に何かあれば大変ですから、との回答でした。


 鳥羽の第二伊勢道では、環境基準値の5倍を超える砒素が検出されたのです。それでも、県は「自然由来のもので心配はない。念のために遮水シートで封じ込めるのだ」と繰り返しています。公園という特殊性を差し引いても、随分な違いではありませんか。 「環境基準値を超える砒素」に対する行政の認識の差を考えさせられます。
突然の砒素報告を受けて心配を募らせている地元住民からすれば、とても受け入れられるものではないでしょう。


島根県では検討委員会に、地元自治体、町内会、漁協代表が入り
情報公開、処理策を同じテーブルで検討している


◆次に、島根県の県道新昭和トンネル工事です(全長909m。発生土8万立方メートル)。「残土の高濃度の砒素に漁協が県対策に不安」という記事です。
島根県の担当者に電話で聞きました。漁協の批判からして当然、問題はあるでしょう。


しかし、それでも、島根県の住民の意思反映の姿勢は、我が三重県とは質が異なりました。はるかにレベルが高い。三重県は、発生土の封じ込め工法について、学識者による第三者検討委員会の結論を唯一の根拠にしています。しかし、この委員会には、地元自治体や地元住民、農業委員会、漁協は入っていません。事前の詳細な報告もなければ、意見の反映もなし。


 しかし、島根県は、当初から、検討委員会に学識者だけでなく、地元自治体、自治会、漁協の代表を入れて、同じテーブルで検討をしたのです。
一方、三重県は県と学識者が立てた計画を、突然、上意下達で住民に回覧で知らせたのです。
今、住民の意思反映を欠落させた県の姿勢が問われているのだと私は思います。


なぜ、島根のように検討委員会に住民代表を入れなかったのか。
私の問に県の答えは返ってきませんでした。そんな発想さえない、必要性がないということでしょうか。


白紙に戻して、堅神町住民の「町外撤去」という意思を反映させるべきです。