市の徴収は納税者の苦労に思いをはせなさい

みずからの裁定をくつがえす事態なのに、話も聞かない、訪問もしない。税金さえ払ってもらえばいい。私には、そういう姿勢が許せなかった。

 
 一般質問のもう一つのテーマは税金の徴収問題です。ご相談が3件相次いでいました。
今、定率減税の全廃、公的年金控除の引き下げなどなど国の増税施策のため、庶民の税負担はおそろしいほど。納税者は格差と貧困のもとでも必死に納税努力をしています。市の徴収はそうした納税者の苦労に思いをはせ、納税者を尊重し節度を保たなければならないと思います。行政も議会も、徴収率だけでなく、納税者の実態を把握し、総合的に市の施策に反映する必要があるのではないか。そんな思いで質問しました。
 
 きっかけは、典型的な事例の相談があったことです。
「滞納処分の執行停止」を納税者の状況を見ないで解除してしまった例です。当事者は足の不自由な80歳のおばあちゃんと、病気で九死に一生を得て、ベッド生活のなかリハビリに通所する息子さんの二人暮らし家庭のケースです。滞納がありましたが、前任の職員が、困窮した生活状態から判断し差し押さえの執行停止をしていました。これは当然のことです。その後、息子さんの国保税が新たに滞納になり、介護サービスが10割負担になりました。もう、リハビリが利用できません。家族がパニックに陥り、おばあちゃんはともかく息子をリハビリにやらなあかんという思いで税務課に「滞納を払う。いくらか送ってください」と電話しました。


税務課はこうした実情を調べもしないで、新たな滞納分といっしょには執行停止した滞納分も送りつけました。あけてびっくり仰天です。払えないから執行停止になっている滞納分の請求書までいっしょに送られてきたのですから。それで私のところに「なんとしたらいいんやろか」泣きながら電話が入ったのです。本当に今思い出してもお気の毒です。


おばあちゃんが税務課へ電話してきたとき、なぜひとこと「どういうふうになったのでしょうか」と聞かなかったか。税務課自ら、厳正な調査をして執行停止にしなければ生存権を脅かす、そう判断した理由があったはず。みずからの裁定をくつがえす事態なのに、話も聞かない、訪問もしない。私には、そういう姿勢が許せなかった。
それで、問題提起したのです。