大阪阪南市の視察報告(10月2日の日記)続きです

市長の「レッドカード」?!奉仕者なのだから当然です

阪南市は、臨時職員削減数まできちんと財政健全化計画で明らかにしていますが、鳥羽は正職員を削減し、臨時職員に置き換えているのが実情です。しかし、これでは財政削減にはなっても、仕事の見直し、本当の改革にはつながりません。正職員が担うべき仕事と、臨時職員で対応できるものをしっかり精査し、阪南市のように、臨時職員の適正数についても明確にすべきだ強く思いました。
阪南市では、市民が地域で活躍できる仕組みづくりに取り組んでいます。58の児童遊園の維持管理を14団体300名の市民に任せています。61自治体が地域まちづくり協議会をつくり、市の補助金を受けて活動しています。市民参加をもっともっとすすめたいとしています。少数精鋭の市役所と市民参加のまちづくりが阪南市のめざす方向であるようです。
さて、財政健全化計画で、市民サービスはどうなったのか。国や大阪府の水準以上のサービスの見直しを行い、市民が求めるサービスへの転換、再構築をしました。私は、福祉関連のサービス削減は市民にとってはかなり厳しいのではと感じました。大阪府下レベルの福祉サービスは鳥羽からすれば手厚いもので、削減された事務事業は、鳥羽にはないような事業ばかりですが…。一方、新しい施策も実施しています。一例をあげると・市民の声をきく課の新設・顔写真入りの名札の着用・電話のたらい回しの禁止・早朝ミーティングの実施・職員市内美化清掃隊の設置・お客様(市民)アンケートの実施・小中学校への学校図書館専任司書の全校配置・市内循環バスの運行・院外処方箋の実施・市長交際費の公開と8割削減・小中学校での全面禁煙・寝たきり老人介護支援事業・福祉作業所強化支援事業・自動対外式除細動機設置・地域就労支援事業、等々。鳥羽でも参考になる点が多いです。
もちろん、議会も例外ではありません。平成15年度から、常任委員会の視察を凍結中です。鳥羽でも、どれほどの効果をあげているか、自らに厳しい点検が必要です。マリンタウン特別委員会や議会運営委員会も視察していますが、この二つは、凍結すべきだと私は考えます。視察しても改善しなければ意味がないです。
さて、今回の視察で一番、衝撃をうけたこと、それは、市長の「レッドカード」です。職員に対して出します。市長は、現場を知らずに仕事はできないので、たえず、庁舎内を回っています。その中で怠けている職員には、上司を介さず、直接、市長室に呼び注意を促すというものです。市民奉仕の原点を職員に求める姿勢に共鳴しました。役所にはこういう緊張感が不可欠ではないでしょうか。身内に甘い対応は、市民にマイナスというだけでなく、本人のためにもなりません。
 

 もう一つのテーマは阪南市の談合防止に向けた市のとりくみについてです。
阪南市では、平成9年4月に中学校校舎新築工事において談合事件が起こりました。これを契機として談合対策を行ってきた経過があります。それを、岩室市長が、損害賠償の予定条項に結実させました。
1、平成9年4月 阪南市公正入札調査委員会の設置
2、平成9年6月 入札談合情報があった場合の対応方法、事情聴取等について規定。
3、設計金額等の公表 入札物件について、設計金額、予定価格、最低制限価格について公表し、入札の透明性、公平性、競争性を高める。
4、平成14年7月 阪南市入札監視委員会の設置
5、平成16年4月 工事請負契約書に、談合等の不正行為による市の契約解除権及び損害賠償の予定条項を追加した。
阪南市職員さんは「この条項が活きたのは今回が初めて。やはり20%は大きいです」と説明してくれました。実は、鳥羽市も、私の一般質問の後、財政課が早速、検討し実施しました。この6月1日から市の契約解除権及び損害賠償15%の予定条項を追加しています。談合はあってはならないことですが、ないとは言えないのが現状。談合による市民財産の損失を取り返すことができるし、なにより抑止力になります。
 
 阪南市政のほんの一部分を学んだにすぎませんが、大いに触発されました。特に、市役所内部の行財政運営に力点が置かれてるのが特徴でした。今後、市民がどのように本格的に市政参画していくのか、注目していきたいです。視察は、視察先自治体の熱心なまちづくりに肌身に触れて共鳴し、刺激を受ける、それが醍醐味だと思います。そのまちの「いいところ」を貪欲に吸収することが、視察効果向上に結びつくのだと思います。直接お話しいただいた岩室市長さんと、説明員の職員さんにお礼申し上げたいと思います。