「高野町助役に経済活性化策を学ぶ」 視察報告続き

地元企業を伸ばす!現場で行政にできる支援は何か、学び働く
 職員が具体的にどういう形で、産業の現場に入っているのか、尋ねると、「目からうろこ」の回答がかえってきました。市役所で待ってるときではない、現場でなければ生の声は聞けない、業者の要求がわからない。行政の支援として何が必要か把握できない。そのために、なんと、農業課は、農協の2階で、観光課は観光協会で、商工課は商工会議所で、産業振興のために行政の立場で働くというのです。そうか…。まさに、私が、ずっと、歯がゆい思いを抱いてきた課題でした。鳥羽では、観光についてはかなり密着した取り組みを感じます。しかし、そのほかはどうでしょうか。たとえば端的な例が、農林課(現在は水産農林課に統合)です。農業振興が主な仕事なのに、鳥羽市の農業は、近隣に比較して落ち込みがひどい。農村地域行くと「鳥羽市には農業政策がない」とお叱りを受けることもしばしばです。課は日々の仕事に流され、本来の課題にひたむきに挑戦しているか、どうすればそんな体制がつくれるのか、と考えてきました。市内事業所の悉皆調査、支援策も提案してきました。高橋助役のお話に、私は意を強くする思いでした。
 

 もう一つ、印象に残ったことは、財政問題へのシビアさです。これまで39億円規模の予算を、29億円まで落とした。せめて、20億円にしたいと言います。観光客があふれ、いかにも豊かな感じがするまちなのですが、町税は将来も期待できず、人口減もすすみ、財政状況は厳しい。人口4,300人のまちに、職員数は110人(病院職員を除き)もいる。当面70人に、将来的には50人ほどにしないとと。高野町も少数精鋭の職員体制をめざしています。単年度の収支均衡バランスを保ちつつ、長期間を通じて財政変動の耐えうる弾力性ある財政、すなわち、財政の健全化を目指して真摯な取り組みを行っています。
 さて、途中、後藤町長が挨拶に来て下さいました。顔写真入りの名札をさげ、あわただしく入っていらしたので、てっきり若い課長さんだとばかり思ってました。阪南市長さんもそうでしたけど、職員といっしょに庁内を走り回っています。後藤市長は、三重県鈴鹿市のお寺さんのお生まれで、助役さん曰く、世界遺産登録の提唱者だそうです。今夏、和歌山知事といっしょに鳥羽にも来訪され、木田市長とも懇談されたそうで、お世話になったので鳥羽と聞いて懐かしくて、と。やる気満々の若い町長と実績豊富な助役コンビが、今後、どんなまちづくりを目指していくのか、鳥羽にも大いに参考になる点がありそうです。                  
 

 今の鳥羽市にとって、何が大事なのか、まるでお手本のような実りある視察となりました。鳥羽市は歳入確保策として、滞納の税徴収に職員をシフトしています。しかし、悪質なものは論外として、真面目な普通の業者は、利益が出なくては払えない。特に固定資産税などはなんともしがたいものです。営業を続けたいという業者を倒産に追い込んでいいはずがない。地元企業の営業を支援し、税収を確保することではないのかと、痛感しました。思いきって産業経済課をつくり、商工観光農漁業をまとめて振興してはどうか。ここにこそ、優秀な人材を投入してはどうか。今後、具体的な提案に結実させたいと思います。
それにしても、今度は、飯田市に視察に行かなくては!