伊勢湾台風より被害甚大 復旧に疲労にじむ

8億円被害に業者泣く!
鳥羽の牡蠣養殖守るために議会は何ができるか―

 
 10日、浦村へ走りました。40台の筏が流出との報にショックを受けたものの、当初は筏全体への被害まで考えが及びませんでした。ところがなんと、浦村の83件のカキ業者のすべてが、被害の差はあれ大打撃を受けたというのです。まず、今浦のカキ小屋に車を向けると、「戸上さん、みんな、湾に出てますよ。筏を元の場所に戻す出会い作業中ですよ」の声。あわてて浦村漁協へ着くと、役員さんが出会い作業の手配に追われていました。これまで設備と労力を費やして、さぁ、これから収穫というときに、よもやの台風被害です。無念さを振り払って目前の復旧作業に追われる業者さんの胸中は察するにあまりあるものです。
 

 例年の水揚げ高が10億円のところ、被害額は約8億円。1250基の筏のうち1000基は被害を受けました。生浦湾に整然と並んだ筏は見る影もなく混乱状態。筏同士がぶつかりあい、隣の筏のカキを吊るしたロープや碇が絡まり、それらを元に戻す作業は困難を極めます。右写真上は、その作業中の船です。下の写真は船で運んできた碇を岸壁に上げているところです。
 

 15日、復旧作業が進むなか、今回の打撃を乗り越え鳥羽のカキ養殖をまもるためにそうすればいいのか…。議会として何ができるのか…。そんな思いで浦村と安楽島を回りました。浦村ではあの伊勢湾台風より被害が甚大です。筏そのもの数が当時の600基が現在その倍に増えました。湾内に設置していた筏は沖出しになり、沖に出せば波も風も強く、一気に被害が深刻化したのです。「カキは鳥羽の秋の味覚です。養殖業者の被害に止まらず観光にも影響が出ます。今、業者は必死にがんばっています。ぜひ、議会も応援してほしい」と漁協役員さん。


「続けていかれん」「続けていかんならん」…
10月は初出荷、種刺しで忙しい、その上にいつ終わるかしれない復旧作業の毎日です…

 
 あちこちで実情を伺いました。「わしらご飯半分にしとるぞ。蓄えもない。これではカキ養殖は続けていかれん」「借金もできん。借りても返せない。全部、つぶれてくんやないか」…。「10月は初出荷と来年の種差しで一番忙しいときなんです。そこへいつ終わるかもしれない復旧作業で本当に大変。『焼きカキ食べ放題』のお客さんから『できますか。大丈夫ですか』と電話が入っても、どこまで予約をとっていいのやら。被害がわからないんです。例年なら4月春休みまで入れたけど今年は年内もつかどうか。でも、わたしら乗り越えてくしかないんです」…。
自然相手の養殖業者さんたちは、こうして幾度試練を乗り越えてきたことでしょうか。


県の沿岸整備事業活用
   でも地元負担が3割も


被害対策について鳥羽磯部漁協と市農林水産課が県と協議を始めます。
県は県単独事業である「沿岸整備事業」を活用するとしています。しかし、県4、市3、地元漁協3で地元の財政負担が3割もあります。対象は、碇、ロープなどの処分や傭船、潜水夫などの復旧費用などで19日に協議予定。
 当然、緊急融資の利子補給など必要ですが、すでに、融資を受け返済に追われている業者も多く、さらに融資は困難というのが現実です。三重県は筏やカキそのものの被害に対する支援は難しいという見解ですが、水産三重の誇る牡蠣養殖です。県産牡蠣の66%が鳥羽産なのです。三重の牡蠣養殖産業の存続のためにさらなる県の支援が求められます。
 
なぜ、全員協議会を開かないの?!


水産業を所管する文教産業常任委員会が現地視察をしましたが、議会として早急に全員協議会を開き、当局の報告を受け何ができるのか、知恵を出し合う場の設定が必要ではないのでしょうか。議長には開催のお願いしているのですがいまだに実現しません。なぜでしょうか。議会基本条例の策定を市民にアピールしているとき、このように旧態以前のままでいいのでしょうか…。


16日、文教産業常任委員会が現地視察
 
 文教産業常任委員会が浦村と安楽島の現地を視察しました。
理事さんから被害状況を聞き、現地で筏の被害実情を見ました。
私は委員ではないのですが、船上から被害を視察したくて便乗させてもらいました。
やっと、湾と沖の養殖筏漁場の台風の爪あとをこの目で確認することができました。

(※ホームページは写真がアップできません。すみません)