マリンタウン特別委員会視察報告

熱海は渚親水公園で魅力アップ
  鳥羽は埋立てだけで120億円の巨費!


19,20日、議会マリンタウン特別委員会は静岡県熱海市沼津市を視察しました。ご報告します。
熱海市(人口40952人)渚親水公園
 「貫一お宮」で有名な温泉保養地の熱海ですが、昨今の厳しさはここも例外ではありません。いかにして観光客を増やすか、官民あげての努力が続けられていました。今回の視察は海岸線の活用策を学ぶことでした。
 

熱海では国道拡幅のため海岸が埋め立てられ遂に熱海海岸から砂浜が消滅してしまいました。そこで、昭和56年から人口海浜工事に着手し延長400メートルの「熱海サンビーチ」が平成2年に完成しました(事業費30億円。国6分の2、県6分の3、市6分の1)。
 

しかし、それに続く海岸線はテトラポットが山積みという殺風景な状況でした(写真左をご覧ください)。そこで、街と海浜を一体化する動線の確保が不可欠となり、サンビーチから連続して海岸を回遊する散歩道(ビーチテラス)、人工地盤(サンデッキ)を配置し、地中海のリゾートをイメージした渚親水公園を整備しました。



<渚親水公園>

イメージとしては、鳥羽のカモメの散歩道の豪華版といったところでしょうか。南欧コートダジュールやイタリアのサンレモとかをまねたデッキが伸びています。老舗の湯の町に新しく地中海の海岸をプラスしたという感じです。これが熱海の選択でした。
それはそれで素敵だと思いますが、私は鳥羽の素朴なウッドデッキのカモメの散歩道の風情が好きです。田舎の鳥羽湾にはピッタリ。カモメの散歩道を回廊として延長することがマリンタウンの大きな魅力になり成功のカギになるでしょう。


さて、渚親水公園はイベントのほか、若いカップルのデートスポット、老若男女の散策として親しまれている様子でした。中心市街地の海側に広々とした空間を確保し、市街地の店舗などと競合させず連携させることに成功しています。デッキには飲食店などは何もありません。今後、軽食のお店はあってもいいかな…という程度です。観光協会の案内所などはあり。


<国道で分断されている市街地と公園(手前)の動線を確保しました>
 

鳥羽ではマリンタウンの上物を創って活用しなくてはいけないーという発想ですが、反対に熱海のように市街地とのバランスを考え、イベント・散歩デッキに効果を見いだすという考え方もあるのですね。これも面白いと思いました。駐車場を近くに配置し気楽に立ち寄れるのも魅力。これも不可欠です。


同じ100億円なら!!


国・県・市の3者が熱海港沿岸部の整備構想をつくり、4区計画のうち、現在3区まで完成し事業費は66億円です。人口海浜とあわせて約100億円です。鳥羽のマリンタウンをは一期工事だけで120億円投入しましたがその効果はまるで見えない…。
同じ100億円なら、活用効果も不明の埋立ではなく、海岸線の魅力アップに使う手もあったのに。やはり、バブル期の国・県の誘導する豪華客船構想に引っ張られたからでしょうか。湯水のような税金投入は市の単独事業ではありえないことです。マリンタウンといい菅島の人工島といい、旧政権の公共事業推進のデタラメさを痛感します。それに追随した市の無責任さ…、問われる議会のチェック力…。


沼津市(人口21万人)。沼津港は平成12年に特定地域振興重要港湾(全国で14港)に選定され、静岡県が主体でびっくりするような立派な施設を次つぎ建設しました。
・大型展望水門「びゅーお」43億円。港を守る防災目的の水門ですが展望回廊型にしてライトアップ。 ・沼津魚市場「イーノ」。安全安心な水産物を効率よく供給する衛生管理対策が図られた水産複合施設です。時代の先端をいく魚市場です。清潔で近代的な施設には感心。県内外、国外からも視察が訪づれるというのも納得。1階が卸売場、荷捌き室、貯氷室。2階は展望デッキとレストラン。12億4千万円。  
・沼津港マーケットモール「沼津 みなと新鮮館」3億円。当日はあいにくの雨天でしたが沼津港付近の老舗市場商店はすごい活気で賑わっていました。こちらのお店を覗いた方が面白い。でもモールにはこうした商店の出店が入っています。雨の日や高齢者などには安心できる拠点施設かもしれません。
すべて、財政負担のほとんどを県が負担しています。鳥羽では考えられない潤沢さ…でした。


<今回の視察費用は約32万円>

■参加者 寺本、浜口、尾崎、木下為、木下順、戸上の各議員。
随行職員は世古口まちづくり室長、北村事務局員。
■費用 一人当たり39,690円(=交通費23,690円+宿泊費12,000円+日当2,000円×2日)
※総費用は317,520円でした。