鳥羽への来訪動機、温泉が第1位に

「湯布院温泉百年のまちづくり」温泉振興会の新春講演会


市内各界の新春講演会が続きます。鳥羽の産業活性化、「今年一番のがんばりどころは何なのか」―。関係者の皆さんに混じって肌身で感じたい、そんな思いで学ばせていただいてます。第一線のお話が無料で聞けるのですからありがたいです。
25日は鳥羽市温泉振興会でした。


「国内の需要喚起策がない!やってもらいたい」


■「観光政策の今と鳥羽観光」―日本交通公社の研究調査部長の梅川智也さんのお話。
 ・観光産業は「観光立国における観光の低迷」という実態にある。いかにこのギャップを埋めるか。民主党のマニュフェストには「観光」の文字が一言もなくて心配したが、当初要求額は前年比の4倍にも。事業仕分けで前年比2倍で落ち着いた。2倍というのはすごいこと。
予算の特徴はインバウンド(外国人誘致)に力点が置かれたこと。それはそれで意義があるが、国内にもまわしてほしいと感じる。というのも、日本の観光産業は24兆円規模で、そのうち海外客は1兆円、一方、日本人の宿泊客は16兆円である。インバウンドで2倍化しても2兆円余にすぎない。


・国内の需要喚起策がない。これが残念な現状である、国にやってもらいたい。(先週紹介した観光カリスマさんの指摘と全く同じ。雇用悪化で国民はモノが買えない、観光消費も海外客頼みなのか…)
 ・鳥羽観光の目標は、安定的、永続的に宿泊客に来てもらうこと。(日帰り客ももちろん大事なのですが、経済活性化という点で、いかに宿泊してもらうか、ここがポイントですね!)
 このほか、お客満足度調査結果で鳥羽への来訪動機の1位が温泉だったとのこと。温泉振興会さんの努力が実りつつある。うれしいことでした。2位が近場である、3位が自然の素晴らしさ。さらに磨きをかけなくては。


観光が地域の各種産業を結び地域経済を循環させていく…
    さすが百年のまちづくりです


■「湯布院温泉百年のまちづくり」―九州湯布院温泉観光協会会長の桑名和泉さんが講演。
しなやかでパワフルな女性会長さんのお話に引き込まれました。70年台に100万人だった観光客がなんと現在380万人、60%がリピーター、70%が女性客。大分の盆地で自ら観光資源は自然と温泉だけという町がなぜ? お話を伺ってそれは地域のまちづくりに原点があるからだと感じました。牧野を開発から守る運動の中で「牛喰い絶叫大会」が始まり、映画祭や音楽祭もすでに35年。非日常のワクワク感に町民を巻き込みさらに進む。


人口1万人の旧湯布院町は人口が減っていない。観光で雇用が生まれているから。それが観光のもつ力だと。客には地元の「旬」を味わってもらう。生産物は売ればそれだけ、旅館調理者が研究会で価値を高める。ブランド米を開発し客に新米を送り食してもらう計画もある。ここまで発展させるなんてすごいですね。つまり、観光が地域の各種産業を結び地域経済を循環させていく…。言うは易く行うは難し。さすが百年のまちづくりです。


 ところで、驚いたのは入湯税の使い道。鳥羽市ではそのまま基金に積んで温泉観光振興の目的に沿って使用しますが、それは全国では珍しいのだそうです。目的税なのに一般税と同じ扱いで本来の温泉振興にはごくわずかという自治体もあり、桑名会長は入湯税の使用方法だけでも鳥羽市への視察客があるのではと話しました。えっ、そうなの。思わぬ評価でした。


<湯布院温泉観光協会会長の桑名和泉さんが講演>