「過疎地域自立促進計画」串本町視察

 財政規律と人口減対策への
       新しい事業を工夫 

 
 先月、すでに過疎地域指定を受けて、今年度で3回目の「計画」策定となる東牟婁郡串本町を視察しました。串本町は5年前に隣町の古座町と合併し、人口19,000人ほどの町です。あの台風時のテレビ中継でお馴染みの「潮岬」の町、本州最南端に位置します。
 

串本町では、平成22〜27年度まで6カ年の各課の事業計画の中から対象となる事業を抜き出し、県の事前ヒアリングを受け、7月末に県に計画を提出。今後、議会議決を受け最終決定となります。
 下記にも示しましたが、国の過疎債発行予算額は2700億円。その内、600億円がソフト事業分です。従来、過疎債は道路建設などハード事業のみが対象でしたが、地方自治体の要望を受け、今年度からまちづくりなどソフト事業にも使えるようになったのです。
 総務省から示された串本町のソフト過疎債発行額の上限額は9460万円だそうです。鳥羽市は3500万円ですので、約3倍です。全国で過疎地域は776市町村。総務省は、財政難の自治体へ支援を手厚くする方針で、人口、面積、財政状況などで発行枠を決めます。鳥羽市の財政力指数(自治体の財政力を示す数字で高いほど財源がある)は0.54。これに対し、串本町は0、34。主力の漁業が落ち込み、大阪から3時間、名古屋からは6時間もかかる交通不便地域であるため発行枠も高いということです。

   
 参考になると私が感じたのは2点―。
 ■過疎債に対する財政課の慎重な姿勢。財政規律を戒めている点。
 過疎債がソフト事業にも使えるようになり、人件費と公債費以外はOKとなった。しかし、過疎債の元利償還の経費の70%が地方交付税で措置されるといっても、基準財政需要額に算入されるということは、実質的にはもっと低い割合になる。また、国の財政状況が厳しいなかで、いつまで交付税措置が続くか不透明で将来が心配。あまり、借金を増やしたくないという思いが強い。そのため、当初計画では2000万円に抑えたほど。しかし、ソフト事業も対象になったるよう改正されたのだから、発行枠に近い額をとの県の意向もあり増額した。


 ■過疎債を既存事業に充当するというより、過疎法の趣旨に沿った新規事業を創出したいとの姿勢。つまり、ストレートに人口減対策に直結する事業に使いたい。人口減をストップできなくても、せめて減り方をゆるやかにしたいと。婚活、農業と漁業振興で雇用を守る事業など。また、一時的なものではなく将来に渡るサービスであれば借金もいいとの考えから、防災毛布の備蓄にも使いたい。どこに使うかを工夫をしていました。鳥羽市側が鳥羽市の婚活事業で80組も結婚実績があり離島や漁村の活性化に役立っていると紹介すると、それはぜひ視察にいきたいと串本町から早速の申し出もあり。いづこも苦労は同じですね。
 さて、鳥羽市はちょうど視察日の前日、県に計画案を提出しました。今後、修正をかけて決定します。9月議会に上程されます。

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<平成22年度過疎対策予算の概要を紹介しますと>
1、予算案
 ・過疎地域等自立活性化推進交付金 3,2億円
 (生活の安心、産業振興、集落維持・活性化等を支援する交付金
 ・過疎地域集落等整備事業費補助金 3、0億円
 (定住促進住宅、空家活用事業、地域間交流施設整備等への補助)
 ※今年度はすでに締め切り。交付金は一自治体一千万円上限。私と しては一番関心があった部分なのですが、串本町は未申請とのこ とで残念。鳥羽市は来年度おおいに活用しなくては!

2、地方債計画額
 ・過疎対策事業費  2700億円
 ・辺地対策事業費 433億円
3、税制改正
 (過疎地域における特別償却制度)
 ・過疎法の延長を前提に対象業種からソフトウェア業を除外、コー ルセンターを追加し、1年延長。
 (過疎地域における事業用資産の買い替えの場合の課税特例)
 ・過疎法の延長を前提に継続
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             「幸子だより」から