一般質問−高校生の通学交通費支援

神島から伊勢へ通学費は年額24万円にも!!
   一カ月の生活費が飛ぶほどの負担です。
  「高校生対策は国と県がもっとしっかりやってもらわなければならない分野だ。しかし、人口減対策上は若い子らへの支援が効果があり、今後の検討課題だ」市長答弁


一般質問での二つの交通費支援。妊婦健診についてはすでにご紹介しました。今日は高校生の通学費支援についてご報告します。


昨年の議会報告会でのことです。「高校授業料の無料が国で決まったが、国崎ではそれよりも、通学費の方が高い。無料と宣伝するんなら、政府は国崎のような全国の交通不便地域への支援を考えてほしい」
また、離島でも、「中学や高校に兄弟で複数、通学すると一カ月3万円、4万円かかる。漁業者にとって、どれだけ大きな負担かわかってほしい。少しでも支援してほしい」こんな声でした。本当に身につまされる思いで私は聞きました。


■まず、高校生の実態から聞きます。
教委総務課長、現在、各中学校区から高校への通学生徒のそれぞれの人数、合計数はどうなっていますか。

【答弁】
東中407人、答志中57人、神島中15人、加茂中100人、鏡浦中20人、長岡中74人。合計673人。


■全部で673人。鳥羽の大切な高校生たちです。うち、鳥羽市内の高校への通学生は何人ほどですか。市外は何人ですか。
【答弁】市内は212人。市外は461人。
■もっとも通学距離があり、通学費用のもっとも高いのはどういうケースですか。一年間の交通費はいくらですか。
【答弁】神島から伊勢高に通学している生徒で、年額24万円になります。


■24万円。驚くぐらいの親の負担です。1カ月の生活費が飛んでしまうぐらいの現状です。答志や長岡から松阪まで通学している子もいる。19万4千円から15万6千円もかかる。
しかも、この試算は年間・半年定期の場合で割引率が高い。1カ月定期だともっと割高です。1カ月定期購入の子が増えている。落としたり、父母の財政負担が重いから。



離島のお母さんたちは「島は子育て環境がいい。みんなが見守ってくれる、だから、子どもは3人はほしい。でも中高生になったときの教育費や交通費負担を払っていけるか。漁業は不安定。だからもう一人ほしいと思ってもあきらめてしまう」こうなんです。
では、父母の負担、高校生たちの通学費の総額はどれだけですか。
【答弁】
5000万円。


■すごい額。高校生たちは、朝一番の船で出て、部活をして時間を気にして最終の船便で帰ってくる。がんばっています。部活ができない子すらいる。こんなハンデイがありながら学んでいる高校生を、市としても、もっと支援したいではありませんか。
これも全国各地調べてみました。大きくは支援の仕方は二つあります。
一つは、自宅の最寄りの公共交通機関の停留所・駅・桟橋から、通学先学校の最寄りの停留所・駅までの定期券購入費が、合計で1カ月当たり1万円を超える高校生を対象に、1万円を超えた部分を全額補助する。これは島根県松江市などが実施しています。
もう一つは、一律で通学定期の半額を補助する方法です。岡山県高梁市などが実施。
仮に初めの1万円以上を補助した場合、どれほどの予算が必要か。教育委員会に事前に試算を頼みました。どうか。
【答弁】660万円。


■600万円でできる。今回2億5千万円基金に積立てました。こういう子どもたちに注ぐのも生きたお金の使い道ではないですか。効果はいくつも出ます。

■全国の例ではコミュニティバス、路線バスの利用拡大を目的に半額補助する自治体もあります。さきほどの岡山県高梁市もそうですし、長野県青木村は地域公共交通会議で、高校生の通学定期を半額補助したところ、家族依存していた通学が村営バス利用に動きつつあると報告されています。青木村では中学3年の卒業時に親と子に村営バスの半額補助をアピールして利用拡大をはかっているそうです。


■特に、今、定住対策の観点、これが大事です。
この議会に上程された第5次総合計画。基本構想の「鳥羽市の将来人口」で、10年後、2020年に本当は1万8千人と予測しているが、子育て世代の支援拡大や高校生の学校卒業時の市内就職などで人口流出を抑制し、1万9千人と設定するとしています。意気込みは立派ですが、これは生半可ではできない目標設定ですよ。必死になってどんどん支援施策を繰り出さないと。


これも議会報告会でのことなんですが、「定期船があんまり不便やと、中高生らのなかに、もう大人になっても島に住みたくないみたいな雰囲気が出てくる。それが一番心配なんやと親同士話してる」。これは怖い話でした。これでは出て行ってしまう。


■基本計画では「鳥羽市がめざすまちの姿」として「学びたい、働きたい、住み続けたいという思いが育つまち」が第1番目の柱です。郷土愛を育てよう、地元で活躍したい気持ちを育てようと掲げています。
今、高校生への市としての支援施策、ほとんどない。交通費支援で希望する高校に進むことができた高校生が、将来立派になってふるさと納税をしてくれるかもしれません。また、郷土のあたたかさを実感し、地元でがんばってくれるかもしれません。
基本計画からしても、高校生を支援し、それを、地元での就職希望にもつなげ、高校生が地元就職できる環境づくりを市が実施していく。この仕組みをつくることが大事なんじゃないでしょうか。この角度で、市長のご見解、いかがでしょうか。


【市長答弁】高校生対策は国と県がもっとしっかりやってもらわなければならない分野です。しかし、人口減対策上は若い子らへの支援が効果があり、今後の検討課題です。


※※この質問は本当にやってよかった!と思いました。市政のなかで高校生対策がエアーポケットになっているからです。質問日が迫るのにどの部署が答弁するのかも定まらないという異例さ。
過疎地指定を受けて、ぜひ実現したいと私が願った高校生の通学支援。高校生対策は市民参加の第5次総計画の中でも位置付けられた大事な課題です。私の後継者に引き継いで頑張っていきたいです。※※